sorachinoのブログ

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よしながふみ 『きのう何食べた?』 8巻

 料理が趣味の弁護士シロさんと、その恋人の美容師ケンジ。そんな二人の同棲生活を描いた料理漫画、シリーズ第8巻。

 59話の京都旅行話が印象深いですね。本シリーズはキャラクター達の手作り料理がメインとしていつも出てきますが、この59話は異色です。なんと京都に実在するお店のグルメ漫画になっているのです。かの有名老舗旅館俵屋に宿泊するシーンなどもあって、「まながつおの西京焼き、田楽みそを中に入れた里芋」という一皿は凄く食べてみたくなってしまいました。良いなぁ紅葉の綺麗な秋の京都。行ってみたい!それにしても、短いページ数ながらテンポ良くこんなに京都旅情を盛り込めるなんて、さすがよしながふみ。無駄なコマが無い。センスと構成力に脱帽です。
 
 この京都旅行篇はケンジ視点でストーリーが進むせいか、結構コミカルな印象を受けるのですが、実は主人公が旅行を決意した背景にはシビアな現実があったという事情が途中で明かされます。昨年のお正月、初めてケンジを連れて実家に帰ったシロさん。恋人の両親に正式に挨拶することができたケンジは嬉し泣きをしたのですが、今年はまさかの実家から来てくれるなのお達しがあり……。
 
 1巻から8巻に至る間、お正月を迎えるエピソードは何度かあり、都度シロさんの実家への帰省を巡ってドラマが起こってきました。主人公カップルはパートナーシップが安定していてあまり本人達の深刻な恋愛トラブルはありませんが(たまにヤキモチやいていたりはするけれど)、シロさんの家族の方はまだ二人の関係を完全に受け入れかねており、そこに火種が燻っています。ケンジも今回の来るなのお達しには怒っていて、その年のお正月エピソードはほろ苦い後味になりそうですが、家族を巡るドラマはやはり読み甲斐があるので今後も注目していきたいと思います。


 高齢のシロさんの両親との関係の難しさが描かれる一方で、この8巻では‘こども’との新しい関係を二人が結んでいる様子が描かれていました。61話にはシロさんの名前から一字を取って名付けられた赤ん坊が登場し、シロさんとケンジが喜びを噛み締める、という場面が出てきます。また、64話では久々に会った甥っ子があまりにも自分そっくりに成長していたため「じぶんの息子みたーい」とはしゃぐケンジの姿があります。
 実子ではなくとも、近しい間柄のこどもがいるっていうのは良いものですよね。新しい命の誕生や、こどもの伸びやかさや瑞々しさって尊いですし心に染みます。そういう下の世代との繋がりをプライベートで二人が持つことができたのは良かったなと思いました。


 57話に登場した梅ダレが美味しそうです。叩いた梅肉1個分に、みりん、水、和風だしの素、酢、しょうゆを各少々入れて作るそうで、ほうれん草、白菜のおひたし、ゆでブロッコリー、オニオンスライス等にかけるといけるんだとか。真似してみたい。

 それにしても、8巻ではとうとう塩麹が出てきましたね。塩麹ブーム、一時期本当に凄かったもんなぁ。今後は、塩レモンに挑戦するシロさんの姿が見れたりするかも?