sorachinoのブログ

BLやラノベ、少女漫画、ロマンス小説、ミステリ小説、アニメ、ドラマ等のジャンルごった煮読書感想ブログ。お気に入り作品には★タグをつけています。ネタバレ多数、ご注意ください。コメント大歓迎です。不定期更新。

サクラサクヤ 『お稲荷さまのハニーバニー』 全3巻

お稲荷さまのハニーバニー 1 (キャラコミックス)

お稲荷さまのハニーバニー 1 (キャラコミックス)

お稲荷さまのハニーバニー 2 (キャラコミックス)

お稲荷さまのハニーバニー 2 (キャラコミックス)

お稲荷さまのハニーバニー3 (キャラコミックス)

お稲荷さまのハニーバニー3 (キャラコミックス)

 昨日、書店で『お稲荷さまのハニーバニー』の3巻が売っているのを見かけたので買って来ました。人間に化けて男子高校生として暮らす野ウサギが主人公のこの作品もとうとう完結ですね。第1話の雑誌掲載時にたまたま読んでいて、主人公の肉厚なウサミミにときめいて以来単行本で集めていました。

高校生の宇野小春は、人に化けた野ウサギ!! けれど、変化の術はまだまだ未熟で、野ウサギのイイ匂いをプンプン振り撒いちゃう。おかげで、強引でちょい意地悪な狐の神さま、お稲荷さまの御領凌士に味見されて!?凌士のお手付きにされた小春の命運は──!? 肉食&草食のケモミミ満載。 ラブコメディ!!

 帰宅後さっそく3巻を読もうと思ったら、前巻の話の内容が大分あやふやになっていたので本棚から1〜2巻を探し出してきて、全3巻を続けて読んでみました。

動物がたくさん登場

 最初から最後まで通して読んでみて改めて感じたのが、こんなに多種類の動物が出てくるBL漫画は初めてかも、ということ。ウサギ、キツネ、イタチ、オオカミ、タヌキ、ネズミ、フクロウ、ヒキガエル、カラス、スズメ、ネコ、ヘビ、果ては白虎、朱雀、青竜、玄武などの想像上の生き物まで、本当に盛り沢山です。動物の姿はリアルな路線で描かれていて、ウサギやネズミは可愛いし、キツネや白虎は格好良かったです。
 
 最初は主人公のケモミミに惹かれて手に取った本でしたが、2巻3巻と読み進めるにつれて次はどんな動物の絵が出てくるんだろう?というのも楽しみになっていました。あとがきを読むと作者さんもやはり動物の絵には力を注いでいたようで、図鑑や写真集の資料片手に動物をたくさん描けて楽しかったとか、雀はあんなに身近な動物なのに資料が少なくて苦労したとかの裏話が載っていました。雀は身近なのに資料が少ないって面白い状況ですね。

 多様な動物が次々登場することにより、物語が進むにつれて作品世界の奥行きが広がる感覚が強くなっていった本作。2巻以降は、たくさん出てきた人に化けられる動物の物の怪達が総力戦で悪霊の封印に挑む、という方向へストーリーは動き出しており、単に狐耳とウサミミのキャラがいちゃいちゃして終わるのではなく、もっとスケールの大きな話へと持っていこうとした点に作家さんの心意気を感じました。

 どんどん人に侵害され野山や草原が減り、もはや野ウサギとしては生きていけない。だから人の中に紛れて生きていくのだという選択は、ジブリ映画『平成狸合戦ポンポコ』に出てきた多摩ニュータウンのタヌキ達を彷彿とさせます。本作のタヌキたち狸穴の一族もまた術を操り人に化けて3〜4世代を生きてきましたが、血が濃すぎて子供が生まれにくくなっている上、個々の術の能力の衰えを認めざるを得ず、3巻ラストでは人として生きていくことを生存戦略として選び取りました。

 切ない話です。でも、今の日本では人間の方だって少子高齢化でどんどん数を減らしてきているし、過疎化も進んでいるからな……。無秩序な郊外開発よりもコンパクトシティ化が進んでいくとしたら、郊外の自然も回復して動物達の勢いが盛り返すなんてことも案外あったりして?とちょっと思いました。いや、でも一度ただの人になってしまった狸穴の一族では、もはや自然が回復したとしても力を操るタヌキとしては復活できないのかもしれないですね。

じいちゃんうさぎが可愛すぎる

 最初から最後まで通して読んでみて改めて感じたこと、その二。一番の萌えキャラは主人公のお祖父ちゃんである!

 縁側で座布団の上にちんまりと兎の姿で座って日向ぼっこするのが大好きとか可愛すぎです。葉っぱを食べている時の恍惚とした表情も良いですよね。1巻冒頭で人間に化ける術を稲荷神に授かったとき、代償として死んだら魂を差し出す、という契約を交わしていたのでもしかしてお祖父ちゃんの最期の場面があるのかと心配してましたが、無事で良かったです。

イタチと僧侶に萌え

キツネ×ウサギの主人公カップルも良いけれど、実は私、イタチの沙雨と有髪僧侶の道明という脇役カップルの方が好きでして。わがままで甘ったれな沙雨、そんな沙雨に振り回されているものの要所ではきっちり手綱を締めるとこは締めている道明、そんな二人の関係性に萌えます。道明の台詞で

「いたちの一生は人間よりずっと短いでしょうから精いっぱい大事に生きなさい」

というのがありますが、1巻ではもふもふ要員&エロ要員であった彼らに寿命の隔たりというシリアスなものが科せられているのを突き付けられてドキッとしました。沙雨には道明の傍で生涯楽しく過ごして欲しいなぁ。

余談

  • クライマックスは攻めのお稲荷さまが身体を張って事態を収めていましたが、仲間に事前の打ち合わせもなくいきなり囮役になるなんて受けは無謀ですよ。ハラハラしたわ!
  • それにしても男の子の名前が「小春」って可愛すぎw

まとめ

主人公カップルも無事まとまりましたし、完結まで読めて良かったです。モフモフ成分も十分ありますが、それだけでは終わらせないぞ!という作者さんの気持ちが伝わってくるような作品です。モフモフが好きな方、神社萌えな方、ファンタジー好きな方にお勧めです。



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