sorachinoのブログ

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長野まゆみ 『東京少年』

東京少年

東京少年

ある日ぼくは、母に通じる手がかりをひとつだけ教えられた。父と出逢った日、母は美しい黒椿を抱えていたと云う。タワーの傍らの、生まれ育った町でぼくは幻の花を追いかけはじめる。次々と家族の謎が解き明かされて―。

長野まゆみさんの本は、時折むしょうに読みたくなります。
入り組んだ家族関係の中で、周囲の大人たちが嘘も交えつつ小出しにヒントを出していき、徐々に主人公の出生の秘密が明かされていく。そういう展開は長野作品にありがちだけれども、やはりちょっとした謎解きをしながら読み進めるというのは楽しいものです。思わず家系図を作りたくなります。

以下、思いっきりネタバレしますので未読の方はご注意ください。


旋毛についての記述から察するに、主人公の常緑(ときわ)は結局父系ではなく母系から墨花亭の血を引いていた、ということですよね。母の紫(すみれ)は黒蝶椿の育種家である千河家の養女であってその血は引いていないようなので、彼女の実親が墨花亭に連なる人物だった可能性がある。
これ以上本書の中に記載がないので予想でしかないわけですが、紫の実親はやっぱり先代墨花亭なのかな? 先代墨花亭は、浮気した妻と他の男との間に生まれた玄菊(はるあき)を長男として育てる羽目になったことで自身も浮気を繰り返し、余所に紫や玄藤(はるひさ)を作った。常緑を育てる朔朗がそうであったように、先代墨花亭もまた育てているうちに玄菊を我が子ではないと知りながら愛するようになり、跡を継がせたいと思うようになる。そこで、千河家に養女に出していた自分の娘である紫と玄菊を結婚させ、黒蝶椿と連家の血の連続性を手に入れようと画策したのでは……?

常緑の実父は季彦のようですね。「Katori」の正体もたぶん季彦(紫との連名の可能性はあるけれども)ではないかと思います。匿名で書簡のやり取りをしながらもそのことは伏せて主人公のそばに何食わぬ顔をしている、というのは『あしながおじさん』のジャーヴィ坊ちゃまみたいな人だなw

蓮玄菊と朔朗の仲が気になるな。まとまってくれれば嬉しいんだけど。



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