sorachinoのブログ

BLやラノベ、少女漫画、ロマンス小説等の読書感想ブログ。お気に入り作品には★タグをつけています。どちらかと言うと新刊より古い作品に言及することが多いかも。ネタバレ多数。コメント大歓迎です。

ZAKK『CANIS Dear Mr.rain』『CANIS Dear Hatter 1~2』

CANIS-Dear Mr.Rain- (EDGE COMIX)
CANIS-Dear Hatter-#1 (EDGE COMIX)
CANIS-Dear Hatter-#2 (EDGE COMIX)

  • 受け:沓名聡(29)
  • 攻め:柏葉リョウ(19)

帽子屋を営む沓名聡(くつなさとる)は、道端に“落ちていた”不思議な男・柏葉(かしば)リョウを拾う。ニューヨークから来たというリョウに、何の気なしに来日の目的を聞くと「死ぬために」という意味深な答えが返ってきて……。
大胆な筆致と力強いストーリーが評判の大型新人・ZAKKの初単行本がついに登場!

 シリーズ1巻である『CANIS Dear Mr.rain』を表紙の群青色の美しさにひかれて購入したのはかなり前のことですが、つい先日、続編の『CANIS-Dear Hatter 1~2』が発売になっていることを知りそちらも手に入れてきました。 これら計3巻をもって沓名とリョウの物語は一段落しています。掲載紙の方では更に『CANIS THE SPEAKER』という続編の新連載が始まっているようですが、そちらはどうやらメインとなる人物が沓名とリョウではないスピンオフである模様。

 主人公の沓名聡は、自ら帽子を一つ一つ手作りする職人でもあり、お洒落な帽子専門ショップの経営者でもあります。お相手となる攻めは、ニューヨークからやってきた米国籍の日系人、柏葉リョウ。行き倒れていたリョウを沓名が拾ったことがきっかけでリョウは沓名の自宅に転がり込み、帽子店でアルバイトをすることにもなります。しかし、どうやらニューヨーク時代のリョウには裏社会に属していた過去があるらしく、来日した目的もなにやら事情があるようで……、という話。

職人へのリスペクト

 この作品、読んでいるとひしひしと伝わってくるのが、物作りをする職人に対してのリスペクトです。もちろんBLですから恋愛は物語上の大きな要素ではありますが、同時にお仕事描写もやたら力を入れて描かれています。蒸気に当たっても熱さを我慢できてしまうほどに皮膚がぶ厚くなった職人の手、自ら作った過去の傑作を超えることができるのかという葛藤、他人の作品に憧れて弟子入りを志願する熱意ある若者の姿、評価されて世界の大舞台で自分の作ったものを発表することの喜びなどが丁寧に描写されており、作品世界には物作りの世界の輝かしさが溢れていました。
 やっぱりこういうのは読んでると燃えます。

 もちろん、リョウの裏社会での過去と対照的に真っ当なものとして沓名のいる世界が描かれているという演出上の都合があるんでしょうが、それにしてもここまで職人への愛情溢れた描写をしているのは、きっと作家さん自身が物作りに愛があるからなんじゃないだろうか、と感じました。ZAKKさん自身も漫画家として作品を自分の手で作り出す人の一人ですしね。

 あと、きっとこの作家さんアパレル業界もお好きなんだろうなー。『CANIS Dear Mr.rain』の描きおろし『Shopping?』でのリョウの着せ替えシーンとか、作者もノリノリで描いてるんじゃなかろうかw モブキャラのA子という女性キャラの描かれ方とか見てると服飾の世界への思い入れを感じます。

ドラマチックな場面

 さて、絵について。とても上手いと思います。祖母からさぁくんと呼ばれていた幼少時の沓名は可愛いし、ハロルドはやたら美髯なダンディオヤジだし。

 実はちょっとレトロな印象を受けるせいか個人的には決して好みの絵柄というわけではないんですが、描き方がとてもこ慣れているのでスイスイ読み進められました。

 雨の中の路地で行き倒れていたリョウを沓名が拾う二人の出会いのシーン、リョウがスポットライトを浴びてランウェイを歩く華々しいシーン、ニューヨークに残ったリョウの「もう一つの顔」を沓名が見るシーン、リョウの笑顔のポスターを見て自分の想いを自覚する沓名のシーンなど、ここぞという場面はとてもドラマチックに描いています。こういう盛り上げ方、やっぱり上手いなぁと思います。



その他

  • タイトルの『CANIS』ってどういう意味だろ?と思っていたら「イヌ」や「イヌ属」を意味する言葉なんだそうですね。なるほど、確かに攻めは色々な意味で犬でした。あと、「モディスト」や「シャプリエ」という言葉も作中で使われていて何のことかと思えば「帽子職人」や「帽子屋」を意味する言葉なんだそうな。アパレル用語は難しいです…。
  • 『CANIS-Dear Hatter 1』の85ページで、日本語書き取りの苦手なリョウが漢字の練習をしたノートが登場してるんですが「雑魚」の「魚」が間違ったまま何度も書き取りされてました……(笑) 間違って覚えちゃったんじゃなかろうか。大丈夫かリョウくん。

まとめ

面白かったです。職人好きな方、働く男が好きな方、ニューヨークのファッションウィークやアパレルがお好きな方、年下わんこ攻めがお好きな方におススメです。


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