山中ヒコ 『エンドゲーム 全2巻』
画家である若い養父に恋をする高校生の物語です。BLでは珍しく柔道に打ち込む男子です。主人公は、今の安定した親子関係を壊したくないから想いを告げられないという恋愛面での葛藤と、亡くなった実母を殺したのが養父だったかもしれないという疑いを抱えており、その恋愛パートとミステリパートの二つの軸が本作の見所になっていました。
山中ヒコさんの作品、今までいくつか読んできて毎回思うのですが、本当にどれも雰囲気が良いですよね。この作品は実母の死が暗い影を落としているので全体的に鬱々としているのですが、そのどんよりとした中にも幸福な暮らしとか純粋な想いとかが描かれていて、なんか読んでいると切なくなってしまうのです。