sorachinoのブログ

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古田アキラ 『執事は沈黙に恋をする』

執事は沈黙に恋をする (バーズコミックス ルチルコレクション)

執事は沈黙に恋をする (バーズコミックス ルチルコレクション)

原作は神奈木智さんで、古田アキラさんによりコミックス化された作品です。富豪の攻めと、新しい執事(正式採用ではなく試用期間ですが)の受けが登場します。新執事の正式雇用を賭けた主従のチェスとか、先代執事と攻めとの会話とか、最後のオチなど、チェス絡みのエピソードはどれも小粋で良かったなぁ。
先代の老執事の葬儀で攻めが呟いた台詞

「おまえがいないから喪服を探すだけで三時間かかったぞ」

とか、腹に一物ありそうな受けが攻めの養子に言い放つ台詞

「たとえ私が極悪人であっても百合沢家にお仕えしている間は旦那さまや悠斗坊ちゃまへ爪ひとつ立てたりはいたしません」

など、ところどころで萌える台詞もあったし、端正であまり生々しくない古田アキラさんの絵も浮世離れした上品な雰囲気にぴったりで良かったです。
謎めいた新執事の正体や攻めの出生の秘密などが徐々に解き明かされていくストーリーなのですが、わりとあっさり風味だったので、その辺りはもうちょっと詳しく突っ込んで掘り下げても良かったんでは、とも思いました。両方の謎に絡む先代執事と先代当主夫妻の関係がいまいちよくわからないんだよなぁ。あんなにプロ意識の強い執事が、雇用主を一時の感情に駆られて裏切るってのも考えにくいし、ひょっとして先代執事の本命は夫人ではなく当主の方だったという裏設定でもあったのでしょうか?もしそうならそのあたりは詳しく読んでみたい気がします。