sorachinoのブログ

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剛しいら 『月の秘密』『星の秘密』

月の秘密 (ダリアノベルズ)

月の秘密 (ダリアノベルズ)

星の秘密 (ダリア文庫)

星の秘密 (ダリア文庫)

吸血鬼シリーズ3部作の1冊目『月の秘密』と、3冊目『星の秘密』を読みました。2冊目の『夜の秘密』は未読です。このシリーズでは、1作ごとに主役カップルが変わっていき、『月の秘密』は狼男×吸血鬼、『星の秘密』は吸血鬼×人間という組み合わせでした。


私は1冊目の『月の秘密』の方が、キャラクターもストーリーも好きでしたね。
主人公の吸血鬼である巴の設定が面白いのです。ワイルド系な男性が好みのゲイなのに食欲がわくのは女性の血だけだし、子爵家の末裔で上品なのに仕事はボーイズパブのオーナーという俗っぽさ。飄々としているのもあり、巴は良いキャラでした。
狼男の太地は、昼間の純朴で読書家な一面と、月夜の野性的で傲慢な一面と、まるで二重人格のように描かれていましたが、昼間の純朴な太地と巴のやり取りが微笑ましかったので、個人的にはずっと昼バージョンのままでも良かったくらいでした。


『星の秘密』は主役カップルの恋愛模様云々より、作中で悪役を担う裏切り者の赤根の最後が可哀そうで、そちらの悲惨さの方が印象に残っています。そこに赤根の強烈な利己心が混じっていたとしても、何十年もかけて全てを捧げた吸血鬼たちへの忠誠、嫉妬や悲しみの記憶を罰として強制的に消去されてしまうんですよ。それがなんだかとても残酷に感じられてしまいまして。
赤根は何も覚えていないままふわふわと衣食住の保証された平穏な幸せの中に余生を送るよう吸血鬼たちによって手配されます。それは裏切り者であった赤根への吸血鬼たちからの最大の譲歩であり温情であったのでしょうが、赤根が拭い去られてしまった記憶を思うとなんだか切ない。
それでも、巴と赤根の最後の会話には小さな救いの光が灯っており、なんだか余韻のあるお話でした。



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