山中ヒコ 『500年の営み』
- 作者: 山中ヒコ
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2012/07/25
- メディア: コミック
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ゆるいSF漫画です。表紙のデザインの叙情性とアンドロイド物だという点に惹かれて買ってみました。アンドロイド物というと、BLに限らずあらゆるジャンルで「死んだ恋人」に似せたアンドロイドが出てくるという定番の展開がありますよね。この作品も基本はその路線なのですが、そこに一捻り加えてあるのが面白かったです。ネタバレになりますが、人間の死んだ恋人がいて、その死んだ恋人の代用品であるハイエンドタイプの正規品アンドロイドがいて、その正規品アンドロイドの代用品であるローエンドタイプのアンドロイドがいて、結局主人公はローエンドタイプのアンドロイドを選ぶのです。この展開は予想外で、おぉ良いアイデアだなと思いました。
主人公を一途に待ち続ける健気なアンドロイドといい、そんな彼と主人公が抱きしめあっている姿を遠くから見守って「いいなー」「なんとか私をひろってもらえないものかな」「人間に命令されたい」「頭撫でられたい」などとワイワイガヤガヤ騒ぐスクラップ現場(?)で働くモブのアンドロイドたちといい、「私は機械にしてはペシミストすぎるとよく言われます」などと自己分析してみせる四角いシンプルな形の500年後のアンドロイドといい、機械が本当にみんな良いキャラばかりでした。
この作品では、ラストまでに500年の年月が流れています。遠い未来です。その頃、地球はどうなっているんでしょうね。作中のように美しい尾瀬が残っていたなら素敵なのですが。