sorachinoのブログ

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草間さかえ 『タケヤブヤケタ』

消防士を主人公にした物語は他にもあると思いますが、大正時代の消防士が主人公の物語となるとちょっと珍しいかもしれません。

代々火消しの家に生まれた人が消防署勤めになるケースが多い中、本作の主人公松岡は、帳簿屋の父親の子として生まれ東京消防学校を主席で卒業し消防士になった人物です。ゲートルを巻いたりトンビを羽織ったり、消防道具の運搬用に飼われていた分署の馬の世話をしたり、クライマックスでは関東大震災に遭遇したりなど、随所に出てくる大正らしい描写はなかなか興味深かったです。

実際、関東大震災時の消防士さんたちは本当に大変だったろうなー。殉職した人も多かったのでしょうね。

阪神大震災が起きた当時、私はまだ子供だったのであまり鮮明な記憶は無いのですが、2011年の東日本大震災を経験した今となっては、資料でしか知らなかった関東大震災もなんとなく以前よりも身近に感じています。

それにしても、イセタツさん、42歳で死んじゃったとは……若すぎる(泣)。良い兄貴分キャラだったのに。
君子さんはおっとりしているお嬢さん風で可愛かったな。
主人公の松岡も好感の持てるキャラクターでした。彼は後に、こんな(↓)言葉を残したそうですが、

「腐敗も酸化も通り越して完全に燃えた物だけが灰という美しい物になる」

ロマンチストだなぁ。