アニメ 『昭和元禄落語心中』 第9~13話
第9話
真打昇進と助六破門の回。
退廃的なムードの中で抱き合う助六とみよ吉のシーンが艶っぽかったです。第4話で雨の降る日にみよ吉が菊の脚をさするシーンもそうでしたが、このアニメはアダルティーな雰囲気作りが上手いですね。直接的な性描写はないのに独特の艶めかしさを漂わせていました。
助六のやるせない台詞で締めるラストの演出が、それまでの不穏さを盛り上げる劇伴の効果もあってとても格好良いです。そして、そこからの夕日をバックに流れ出すジャズのエンディングテーマが渋い。痺れます。哀愁が滲みつつも、どこか暖かみのある曲で、このレトロなアニメにぴったり。
第10話
七代目八雲師匠が亡くなる回。美声な親爺キャラで好きだったので残念です。
七代目師匠は、本人が言う通り初代助六に対して酷いことをする卑怯さがあるし、みよ吉に対しても都合のよい女扱いをする人物ですが、突然現れた幼い二代目初太郎を引き取って弟子として育て上げていたり、みよ吉を満州から連れ帰って芸者の仕事を世話したりとかなり面倒見の良い部分があるんですよね。度量が小さいような大きいような、複雑で味わい深いキャラクターでした。
第11話
菊と再会した助六の再生の回。
二人の再会の場面といい、舞台を見上げる菊に旅館の主が落語を上演することの喜びを語る場面といい、小夏の髪を切ってあげる菊さんといい、縁側での「野ざらし」共演といい、大好きなエピソードです。11話は10回以上視聴しちゃいました。とにかくもう、萌えと幸せが溢れている回なんですよ……!この回は観てると笑顔になってしまいます。
まず、再会時の助六の「わ――――――――――――――――‼」が良い。こんな素直に嬉しそうな歓声をあげて駆け寄ってくる助六が子供みたいで可愛いし、それを見事演じた山寺さんが凄い。菊さんが鞄で殴りつけるお約束も可愛いですよね。この2人、仲良過ぎだわ。
そして何といっても、原作でも一番お気に入りのシーン、小夏のための二人の落語デュオ。原作を読んでいた時から「野ざらし」の歌の部分ってどんな感じだろう?と思っていたのですが、山寺さんの声で聴けて、おお!と思いました。終わった後に泣き顔を伏せたまま「小夏…」と声を震わせる助六に、桜の花びらが一片舞い散る演出が心憎い。まるで春の花に祝福を受けたかのようです。幸せ。
第12話
菊と助六の二人会、そしてとうとう悲劇を迎える回。
山寺さんの「芝浜」の演技、良かったですねぇ。泣かせるわ……。落語家として再起を図ろうとする時にかける噺が夫婦の人情話「芝浜」という設定は原作からして素晴らしいのですが、アニメでもたっぷり尺を取って魅せてくれたのは嬉しかったです。
最近、よくYOUTUBEで落語心中のリアクション動画を観ています。外国人の視聴者もちゃんと「芝浜」の話を理解した上でこのアニメを楽しんでいるようでした。落語の翻訳は骨が折れると思いますが、海外の配信会社も頑張っているんですね。