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sorachinoのブログ

BLやラノベ、少女漫画、ロマンス小説等の読書感想ブログ。お気に入り作品には★タグをつけています。どちらかと言うと新刊より古い作品に言及することが多いかも。ネタバレ多数。コメント大歓迎です。

アニメ 『昭和元禄落語心中』 第5~8話

アニメ『昭和元禄落語心中』の第5~8話の感想です。いずれ原作漫画の感想記事も別途あげたいと思いますので、ストーリーについてはそちらで触れることとして、この記事では前回に引き続きアニメオリジナル部分についてを中心に書いていきます。

第5話

鹿芝居で弁天小僧を演じ、菊さんが手ごたえを掴む回。菊さん役の石田彰さんの女声が凄い。本当に歌舞伎を彷彿とさせる発声で、芸達者な声優さんだなぁとしみじみ思いました。

最後、何枚も写真が撮られていくたびに菊さんたちが穏やかな様子に収まっていく演出がとても微笑ましくて良かったです。

第6話

何のために落語をするのか、菊さんが自分の芸を見つける回。アニメオリジナル展開多め。

モブの小ネタですが、4話で初登場していた菊さんのバイト先のカフェの常連客の3人組が再登場していたのが面白かったです。彼女たち、すっかり噺家としての菊さんのファンにもなっていましたね。

紫陽花の作画が瑞々しくて美しいです。

第7話

今回も前回に引き続きアニメオリジナル展開がかなり多い回。みよ吉と菊比古の関係性、さらに助六と菊比古の関係性を来たる悲劇に備えて深堀りしていくという制作側の意図を感じます。

つい菊さんと助六の関係に注目しがちですが、みよ吉という女性の悲哀がアニメだとより際立っているなぁと思います。熱中できる仕事もなく、学歴もなく、守ってくれる親もおらず、満州でも男性に騙され捨てられ色も売り、男性に縋って生きることを繰り返すみよ吉。本人の資質もあるかもしれませんが、彼女の弱さと哀しさは時代のせいも大きいですよね。原作既読なもので、その最期を知っているだけに6~7話にかけてはみよ吉まわりの細かい描写に痛ましさを覚えました。

でも、この8話を見た後にみよ吉を演じる声優・林原めぐみさんが語るこの動画を聞いてちょっと救われた気分になりましたよ。

2016年2月21日 志の輔ラジオ 落語DEデート ゲスト アニメ「昭和元禄落語心中」に「みよ吉」役で出演中の声優・林原めぐみさん
みよ吉が落語嫌いのキャラクターであることから、林原さん自身もアフレコを終えるまで落語は見なかったんだそうで。みよ吉という哀しい女性を、こんなにも丁寧に大事に演じてくれて嬉しいです。

さて、アニメの助六については、原作比三割り増しくらいでダメ人間ぶりが強調されている気がします。助六よ、たかり過ぎだし飲み過ぎだぞ~。ヒモ男にもほどがある。あ、でも「二人であっちこっち好きな所巡って、面白ぇもん見て、んでもって沢山客を笑わせてやろうぜ」といつか二人会をやろうと助六が菊を誘う台詞は、助六らしく夢のある話題で良かったです。鹿芝居の興行を成功させた実績があるのですから、企画力とか人脈とかスポンサー集めの才覚とか、助六には結構あると思うんですよ。真打になった二人の地方巡業シーンは観たかったなぁ。そんな未来を二人が辿れなかったのは残念極まりない……!

うーん、でも正直なところ6~7話あたりは話が動かないのでちょっと中弛みを感じたかな。

第8話

みよ吉に別れを告げ、助六とも同居を解消する菊さんの回。いよいよ話が動き出し、面白くなってきます。しかもこの回は、菊比古と助六が互いの落語観を真面目に語り合うシーンもあり、音楽や作画も素敵で全体的にクオリティの高い回だったと思います。私は全話見た中で、1話と11話と12話、そしてこの8話が特に好きなんですよ。

祭りの夜の鬼灯市の雰囲気が情緒たっぷりで本当に素晴らしかったです。風に揺れる風鈴と鬼灯のカット、短いながら美しすぎて目が惹き付けられました。美術斑、良い仕事をしてくれてありがとう、と言いたいです。

原作読んだ時も驚きましたしアニメを見て改めて感じたけれど、交際女性が他の男性に抱きしめられている場面に出くわすという修羅場の後で、男性二人が仲良くジャズ喫茶で語り合うってなんか色んな意味でスゴイ展開ですよね。こういう男女のメロドラマの際に定石を外したキャラの動かし方をしてくるのは原作者がBL作家だからこそなのでしょうか。菊と助六ホモセクシュアルに極めて近いホモソーシャルな関係にBL愛読者としては激萌えなのですが、しかしその一方で、みよ吉の排除されっぷりが悲しくて。菊比古さん、酷薄ですわ……。

ジャズ喫茶で落語の未来を語り合うシーンで、バックミュージックのジャズがお洒落でした。ここ、原作でも音楽が流れている場面なんですが、漫画で読んでいるときはあんまり意識していませんでした。アニメで実際に音としてジャズが流れるのを聞くと、客に合せて自分が変わっていきたい、今の客に受ける噺をしたい、という落語界の変革者たらんとする助六の言葉がジャズ音楽の即興性とも重なりとても説得力を持って聞こえます。

「落語だけが娯楽じゃねえんだよ。世の中に溢れけえっている娯楽の中で、落語がちゃぁんと生き残る道を作ってやりてぇんだよ」

という台詞も重々しくて、いつにない助六の真摯さが素敵でした。この回は、本当にアニメで観れて良かったです!