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sorachinoのブログ

BLやラノベ、少女漫画、ロマンス小説等の読書感想ブログ。お気に入り作品には★タグをつけています。どちらかと言うと新刊より古い作品に言及することが多いかも。ネタバレ多数。コメント大歓迎です。

きたざわ尋子 『だまされたい』

イラスト:赤坂RAM、白泉花丸文庫 1999年6月

だまされたい (白泉社花丸文庫)

だまされたい (白泉社花丸文庫)

  • 受け:田村深里(20)
  • 攻め:片瀬理人(30)


攻めは詐欺師で受けはその異母弟という片瀬×深里シリーズの第一弾です。良い意味でストーリーにもキャラクター設定にもこれぞ王道のBL!といいたくなるようなテンプレてんこ盛りな作品だと思います。BLを読み始めた初期に出会って「BLって面白いなぁ」と思わせてくれた作品と言うこともあり、私はこのシリーズ大好きなんですよ。

 第一巻は1999年6月初版発行ということですから、もう15年以上前の作品ということになりますね。2015年6月現在10巻まで出版されており、もちろん私は発行済分は全て読破しています。作家さんは第10巻でとりあえずこのシリーズは一段落着いたという認識をお持ちらしいので、続編はおそらくもう書かれないのでしょう。まぁ、一度くっついたカップルを長く書くって大変でしょうから、それを10巻も続けてくれたというのはそれだけでもう十分に素晴らしいですよね。ただ、もし11巻目も出たら私はたぶん買うだろうな。

長く続いていますが、このシリーズは一応同作者の『いとしさは罪じゃない』という他カップルの話の番外編という位置付けになっています。なので先に『いとしさは罪じゃない』を読んだ方が人間関係はわかりやすいかもしれません。

シリーズ第一弾となる『だまされたい』では、受けと攻めが結ばれるまでが描かれています。

【攻めのキャラクターの魅力】

この作品の何が好きって、ずばり攻めのキャラクターです。攻めの片瀬理人は、常にクールで何事に対しても余裕綽々な態度を示す詐欺師です。受けに対しても愛情表現がちょっと意地悪。でもこのイケズな感じも一筋縄行かない感じが出ていて面白いです。

で、この攻め、凄いスペックをお持ちなのです。「スーパー攻め様」という言葉がありますが、片瀬はスーパー攻め様に該当するんじゃないかな? 年上で(受けより10歳上)、長身で、容姿端麗で(!)、外国の血が入っていて(4/1がアングロ・サクソン系英国人のクォーター!)、お金持ちで(お金に困ってないのに道楽で働いているという金持ちっぷり!)、実家も金持ちで(都内にある豪邸には蔵もあるらしい)、インテリで(銀縁眼鏡をかけ英字新聞を読む!)、高学歴で(某T大卒!)、優秀で(法学部を主席で卒業!)、良家出身で(元華族の家柄!)、若くして才能があり(在学中に詐欺の仕事を始めていた!)、という身の上なんですよ。一昔前の‘理想の結婚相手の3K’を兼ね備えた男性であり、その上で沢山のオプション付きですから、上昇婚願望の強い人に熱望されそうな人材ですよね。

ある意味こんな攻めが好きですと表明するのはちょっと羞恥を伴いますが(笑)、でも好きなんだよなー。余裕綽々なすかした攻めが、受けに対しては密かに動揺したり嫉妬したりしてるのが面白くて。本書は主人公の深里視点で物語が進みますし、片瀬も心中を素直に語るキャラではないので、知らぬは本人ばかりなりということで深里は片瀬の気持ちに気付いていません。でも、片瀬が受けを愛していることはその言動から読者にはバレバレなので、読んでいるとニヤニヤしたくなるのですw
    

【受けの恋心の成就】

主人公である受けの田村深里は、意地っ張りでとても可愛いです。悪ぶってたり攻めの片瀬に突っかかったりしているのですが、田村は昔から片瀬に惚れていて一途な純愛気質という感じなんですよね。実は両思いなんだけれど自分では片思いだと思い込んでいます。片瀬が自分の体を触るのは都合の良いオモチャだからなのだ、と。

それだけにやはり一番萌えたシーンは片瀬に初めて最後まで抱かれた場面でした。田村は、今自分は好きで好きでたまらない男に初めて抱かれているんだと歓喜していて、読んでいるこちらにもその感動が伝わってくる。思わず、おぉついに念願叶ったんだな、良かったね田村…!という気分に。


その他

  • 詐欺を知的なゲームとして愉しんでいる攻めのモットーは、一般人の女性や高齢者など弱者は狙わない、というもの。ねずみ小僧的な正義の味方では決してないのだけれど、読者の反感も買わない程度に悪党というのがうまい。なんとなくファンタジックな詐欺師という印象が漂ってます。まあ確かに振り込め詐欺とかでお年寄りからお金を巻き上げてる攻めの姿なんてBLでは見たくないもんなぁ。
  • 詐欺師の仕事を手伝わせてもらえないことを不満に思っている田村は、自分が未熟なせいだと考えているわけですが、勿論そんな理由ではなく、片瀬は人を騙す行為をすることで田村が傷つくだろうと考えていたから手伝わせていないのでした。こういう事情は片瀬の言動や行間から読者はすぐ予想出来るし、実際登場人物の一人も予想を口にしていますが、田村が頑なに自分の力不足ゆえだと信じ込むのは、まぁ物語のお約束ですね。あとは片瀬の性格のせいかな。
  • 聡い片瀬なら田村が自分に惚れてて他の人間には見向きもしないことを知っていただろうし、詐欺師だから云々の理由はあっても五年間最後の一線を越えなかったというのは、そんな余裕の上での片瀬流の壮大な焦らしプレイだったという面もあるんじゃ…?などと疑ってしまいました。
  • 腹違いとはいえ2人は血の繋がった兄弟ですが、いろいろ事情があるために田村は「兄さん」とか「お兄ちゃん」ではなく「片瀬」と苗字で呼んでいて、あんまり兄弟っぽくない関係だと思います。
  • それにしても母親の芸名に由来しているとのことですが、「深里」という名前は男の子の名前としてはかなり珍しいと思う。キャラにあっているし綺麗な名前ですが。ここぞという場面で片瀬が「深里」と呼びかけているところを見ると、田村が片瀬に名前で呼ばれるのに弱いと片瀬もわかっててやってるんだろうなぁ。

まとめ

ストーリー展開はこれぞBLの王道!という印象です。良く言えば安心して楽しめるけれど、一方でオチが読めてしまう、というのも正直なところです。ただ、それでも萌えますので、年上攻め好きな方、意地っ張り受け好きな方、兄弟モノ好きな方にお勧めします。



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