榎田尤利 『きみがいなけりゃ息もできない』
- 攻め:東海林達彦(27)
- 受け:二木了(27)
- 作者: 榎田尤利,円陣闇丸
- 出版社/メーカー: ビブロス
- 発売日: 2003/09
- メディア: 単行本
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幼馴染の裕福な美術商×売れない漫画家のお話。新装版も出ているそうですが、私が持っているのは旧装版の方です。書き下ろしの短編が収録されている新装版が羨ましい…。
榎田さんの漫画家シリーズは、これと『愛なら売るほど』の二冊が既読です。こちらの『きみがいなけりゃ息もできない』の方が好みかな。
好きなところ、萌えたところ
【攻めの世話焼きっぷりが半端ない】
小説や漫画に登場する作家業のキャラクターというと大抵締め切り破りの常習犯だとか家事が出来ないのが定番であり、例にもれずこのお話の受けも生活能力に欠けた漫画家です。しかし、部屋でショウジョウバエを発生させてしまうほどというのは凄い駄目っぷりだ…。
そんな受けの面倒を、出来る男である攻めがまめまめしく見ています。受けを自分の管理下に置いて部屋の掃除から体のメンテナンスまであれこれと世話を焼く、という東海林のキャラクターは、同作者の小説『犬ほど素敵な商売はない』の轡田とどこか通じる部分があるような気がします。このような管理型世話焼き攻め、私は結構好みなんですよね。ちなみに、たけうちりうとさんの『君の心に天使の輪』に収録されている『バスレフの白い電話』の攻めなども管理型世話焼き攻めだと思います。ひちわゆかさんの『キャンディ』の攻めにも近いものを感じます。
東海林は二木に恋してるのではなく腐れ縁だと自分では思ってたみたいですが、普通他人にそこまでするかというほど熱心に長年面倒を見ていたのは、やっぱりラブだよなぁ、と読んでいて思わずニヤニヤしてしまいました。
【好きなシーン】
自分の食べ残しが東海林の腹に入っていくのを見るのが好き、と二木が考える場面があります。この描写はさらっと書かれているのですが、私はこのシーンが好きでして。わかるなぁ、残り物を食べてもらって幸せを感じる気持ち。
その他
- 円陣闇丸さんのイラストについて。特に13ページの東海林は良い体してて格好良い!
- ゲイだと自覚しているようなので女の影が無いのは当たり前ですが、男の影もさっぱり見えないので東海林の恋愛遍歴が気になりますね。どんなタイプが好みだと自分では考えていたんだろう?そしてどんな男と付き合ってきたんだろう?
- 生活力や社会人としての社交性が著しく低い二木ですが、最後で多少成長しているらしいとあってちょっと安心しました。いや、割れ鍋に綴じ蓋カップルのなので、家事能力の面では相変わらずかもしれませんが。
まとめ
面白かったです! 著者の榎田さんは多作な作家さんで、私も結構数を読んでいますが、この作品はその中でもベスト3に入ります。新装版が出るほどですから、やっぱり人気作なのでしょうね。