棚園正一 『学校へ行けない僕と9人の先生』
学校へ行けない僕と9人の先生 (アクションコミックス) [ 棚園正一 ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > コミック > 青年 > 双葉社 アクションC
- ショップ: 楽天ブックス
- 価格: 800円
この作品は、小中学校のときに不登校の経験を持つ著者が描いた自伝的な青年漫画です。
経験者は語る
ああ、学校に行けない時こういうことを子供は考えているのか、と大変興味深く読みました。
下校時間になると家の中から窓に張り付いて表を通る通学生たちを見る、という主人公の行動がなんだかやけにリアルです。久々に登校した日、「消しゴム折れたぁ」と授業中先生に泣きついて「わざわざ言うほどのことかよ」とクラスメイトに嘲笑されるとか(登校してないから皆と感覚がずれている悲しさよ)、理科室に登校した主人公を「一緒に教室へ行こう」とクラスメイト達が大勢で迎えに来てくれるがそれは白々しい茶番であることを実感する場面とか、先生に気遣われ特別扱いされることを恥じて逆に皆と一緒に叱られることに喜ぶとか、エピソードがいちいち胸に響くんですよ。
こういう子供はいっぱい日本中にいることでしょう。この作品の主人公には何度も、色々な人から救いの手が差し伸べられますが、それは常に効果的だったり良いものだけなのではなく、むしろ状況を悪化させたり主人公やその母を深く傷つけるものだったりもします。明快な解決策なんてなくて、地道に継続的に様々なアプローチを色々な人が行っていく、そういう風にしていくしかないんだろうなぁと感じました。そして、逃げ道があることも大切だなぁと。
漫画としての完成度が高い
それにしても、この作家さん漫画上手かったなー。絵も上手いし、演出もセンセーショナルにではなく丁寧に淡々と描いていて、完成度が高いです。どれほど努力したことか。努力できるほどに打ち込める好きなものを見つけられたのは幸運ですね。彼に漫画があって良かった。
余談
まとめ
子供も大人も読んでいて胸に迫る作品だと思います。万人におススメできる漫画です。