sorachinoのブログ

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棚園正一 『学校へ行けない僕と9人の先生』

この作品は、小中学校のときに不登校の経験を持つ著者が描いた自伝的な青年漫画です。

経験者は語る

ああ、学校に行けない時こういうことを子供は考えているのか、と大変興味深く読みました。

下校時間になると家の中から窓に張り付いて表を通る通学生たちを見る、という主人公の行動がなんだかやけにリアルです。久々に登校した日、「消しゴム折れたぁ」と授業中先生に泣きついて「わざわざ言うほどのことかよ」とクラスメイトに嘲笑されるとか(登校してないから皆と感覚がずれている悲しさよ)、理科室に登校した主人公を「一緒に教室へ行こう」とクラスメイト達が大勢で迎えに来てくれるがそれは白々しい茶番であることを実感する場面とか、先生に気遣われ特別扱いされることを恥じて逆に皆と一緒に叱られることに喜ぶとか、エピソードがいちいち胸に響くんですよ。

こういう子供はいっぱい日本中にいることでしょう。この作品の主人公には何度も、色々な人から救いの手が差し伸べられますが、それは常に効果的だったり良いものだけなのではなく、むしろ状況を悪化させたり主人公やその母を深く傷つけるものだったりもします。明快な解決策なんてなくて、地道に継続的に様々なアプローチを色々な人が行っていく、そういう風にしていくしかないんだろうなぁと感じました。そして、逃げ道があることも大切だなぁと。

漫画としての完成度が高い

それにしても、この作家さん漫画上手かったなー。絵も上手いし、演出もセンセーショナルにではなく丁寧に淡々と描いていて、完成度が高いです。どれほど努力したことか。努力できるほどに打ち込める好きなものを見つけられたのは幸運ですね。彼に漫画があって良かった。

余談

  • 先日、会社のお昼休みに同僚が打ち明けてくれたのですが、その方の中学生のお子さんは不登校になりかけているのだそうです。完全な引きこもりというわけではなく、登校する日もあるけど断続的なんだそうな。いわゆる「さみだれ登校」ってやつでしょうか。実はその日も同僚が朝早くに出勤した後、無断で学校を休み隣市に一人遊びに出かけてしまったようで、お子さんの学校から電話が入ったとのこと。親御さんの立場からしたら悩ましいだろうなぁ。
  • 私自身は学校が好きだったわけではありませんが嫌いだったわけでもないので特に不登校になることもなく学生時代を過ごしました。そのせいでしょうか、小学生の頃の仲の良い友達の一人に途中で不登校になっちゃった子がいて、別に苛められている訳でもないのに休むその子が私は本当に不思議でした。あの子、今どうしてるんだろう。同僚の話を聞いていてふとそんなことを思い、なんとなく帰宅後に不登校児関連のキーワードでネットサーフィンをしていた時に、この漫画の存在を知りました。公開中の1〜3話を読んだら続きが気になり、すぐに購入しました。まんまと販促に引っかかっておりますw でも面白かったので後悔はしていません。

まとめ

子供も大人も読んでいて胸に迫る作品だと思います。万人におススメできる漫画です。