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sorachinoのブログ

BLやラノベ、少女漫画、ロマンス小説等の読書感想ブログ。お気に入り作品には★タグをつけています。どちらかと言うと新刊より古い作品に言及することが多いかも。ネタバレ多数。コメント大歓迎です。

剛しいら 『ボクサーは犬になる   ドクター×ボクサー1』

イラスト:石原理

  • 受け:橋口徹(18)
  • 攻め:加藤久二彦(29)

今日のエントリーは、昔懐かしの『ドクター×ボクサー』シリーズについてです。発売レーベルは成美堂出版クリスタル文庫。このレーベルは、最近書店では見かけなくなったように思いますが、もう廃刊になったのかな?
10年程前の学生時代、BLを読み始めた当初にこのシリーズにハマったので個人的に思い入れの深い作品です。初読みの当時ですら珍しく古き良きJUNEの香りを漂わせている作品だなぁと感じていましたが、1999年の発売から16年経った今読んでも色褪せていません。

主役は外科医×ボクサーの年の差カップル。『ボクサーは犬になる』『ドクターは犬を飼う』『チャンピオンを犬が噛む』『ナースが犬を盗る』の4話が収録されている短編集です。第一話は2人の出会いと恋人になるまで、第二話以降は恋人として同棲を始めてからの物語。

【好きなところ、萌えたところ】

応援したくなる

一話一話は短いけれどそれぞれ密度が濃く、一冊読み終わってとても満足感を覚えました。BL小説ではあまり見かけませんが、こういう短編集という形式も面白いものだと思います。それぞれのエピソードの積み重ねがなんだか作品世界の奥行きを感じさせます。

私は恋人になった第二話以降が特に好きです。絆を深めながら自分達の生活をどうやって守っていこうか、と二人が努力し合っている姿は読んでいて快い。それに恋人同士となったことで、孤独だった2人がラブラブで幸せな生活を送るようになったというのがとても伝わってきて良かったです。波風の立つ中で加藤も徹も幸福な生活を守ろうと真摯で、思わず応援したくなるカップルでした。

ちなみに攻めの加藤は、受けの徹を拉致監禁、さらに強姦とやることは立派な鬼畜攻めですが、「完全無欠の自信満々で無敵な鬼畜攻め」にはなりきれていません。むしろヘタレ攻めの匂いすら漂わせています。ボクサーである徹の反撃を恐れている小心さや、手に入れた徹の観察に忙しく翌朝は寝坊してしまったという間抜けさなどを、徹に見透かされています。罪を犯したのに自首する勇気のない自分を恥じていますし、『ナースが犬を盗る』では愛犬が盗まれて落ち込むあまり一時的な不能(?)に陥っていますし。
そういった情けなく弱い部分もきちんと描かれていて、そんな加藤の人間臭さは嫌いじゃないなと思いました。卑怯で大人気ない部分もあるキャラではあるんだけど、不思議なことにそのヘタレ具合がいとおしくなってきたりして…。幸せになってくれ、と素直に思っちゃうんですよね。

ボクシングという未知の世界

主人公がボクサーという点もこの作品の面白いところです。BLも色々な職業人が登場しますがさすがにボクサーは珍しいような。
私はボクシングも含めて格闘技は全般的に苦手で凄惨な暴力描写とかあったらどうしようと読む前は怖かったのですが、心配は無用でした。ボクシングはスポーツであって単なる殴り合いではないという認識をキャラクター達がきちんと持っていますし、練習風景や試合の様子、ジムの人間関係などは興味深く、おかげで知らない世界を垣間見ることができたような気がします。


【その他】

  • 2人の馴れ初めは思い余った加藤による拉致監禁で、地下室に連れ込まれた徹は鎖で繋がれ、激情をぶつけられます。こういうガチの性暴力から恋に落ちるという展開に嫌悪感を持つ方は多いかもしれませんね。そういう方にはおススメできる作品ではないな。私もちょっと「自分を監禁・強姦した相手に恋するなんてストックホルム症候群なんじゃ…?」と思わないでもないですし…。
  • ちなみに生まれて初めて他人に愛され強く求められた徹は、徹自身こんなに呑気でいいのかと自問するほどあっさりと監禁生活に順応し、加藤にほだされていきます。加藤曰く「徹は今時の若者独特のふて腐れたような傲慢さはない。いたって素直で純粋だ」。この文章は徹の性質をよく表していると思います。犬のように加藤を慕っており、どんな加藤の理不尽さをも受け入れる。ちょっと従順すぎていたいけな子供が悪いことされているように見えるほどですが、そんな徹じゃないと加藤と恋愛していくことは出来なかったのかもしれません。

まとめ

剛しいらさんは多種多彩な作品を書いている方で私も多数読んでいますが、その中でもこの『ドクター×ボクサー』シリーズは、『顔のない男』シリーズ、落語家シリーズ、『陰陽師葦屋道満』シリーズとともに大好きな作品です。商業発表分は全巻揃え、時々読み返しています。



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