木原音瀬 『牛泥棒』
HOLLY NOVELS 、イラスト:依田沙江美、
- 攻め:佐竹亮一郎
- 受け:田中徳馬
- 作者: 木原音瀬,依田沙江美
- 出版社/メーカー: 蒼竜社
- 発売日: 2007/06/29
- メディア: 新書
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【甘々ラブラブ】
読む前は、大人しくて年上使用人受けが攻めを健気に想い続けるというのはちょっと見てて痛々しそうなので苦手だなぁ、と思っていたのです。ところが、良い意味で予想を裏切られました。
確かに徳馬は大人しくて攻めに健気に尽くすタイプの、27歳成人男子にしてはちょっと乙女系の入ったキャラクターです。けれど、主人気質の年下攻めは幼い頃から受けに信頼と慕情を寄せていて、一緒に学校に通えるようにしたり散歩に連れて行って一緒に団子を食べたりと大切にしており、受けの一途に尽くす行為が報われていたのであんまり痛々しくは感じませんでした。あとやっぱりラブラブ甘々だったのが良かったです。二人とも可愛いなーと読んでいて幸せになるお話でした。
亮一郎と徳馬は、なんだかとっても「男夫婦(いや、男夫夫でしょうか?)」という言葉がしっくりくるカップルです。特に『古山茶』では、同棲している恋人同士というよりは、もはや長年連れ添った伴侶のような暮らしぶり。亮一郎のお弁当を作ったり家計を預かったり亮一郎を立てつつ内職したりと、徳馬は古き良き妻という感じ。そして亮一郎も可愛気のある年下の亭主関白男っぽいです。「お前も俺に接吻しろ」とか、何故徳馬が泣いているのかわからなくて「お前が作った夕餉を食わなかったからか?残しておけば明日の朝に食うぞ」とおろおろしたりとか。本当に、なんて可愛いカップルなんだ…!いちゃいちゃしてる場面は読んでいて楽しかったです。あまあまらぶらぶ万歳。
【レトロ感】
時代背景も作品の雰囲気やキャラの関係性にマッチしていて良かったです。私、こういう着物と背広の共存するというレトロ感と幽霊・妖怪要素の複合した作品って本当に好きでして。今市子さんの『幻月楼奇譚』、かわいゆみこさんの『夢色十夜』、石原理さんの『其は怜々の雪に舞い』も面白かったですが、木原音瀬さんの筆でこういうレトロな世界観をベースにしたお話を読めるなんてとても嬉しい。
この作品では褌が萌えアイテムとして使われています。攻めの亮一郎はほぼ洋装なので、和装が普段着の徳馬の褌です。徳馬の「失くしてしまって…」という言い訳は可笑しかったな。羞恥で動転してたんでしょうね。控えめで大人しい徳馬が恥じらう姿は可愛いらしい。そして褌をしていない本当の理由は萌えるなぁ。
萌えたといえば40ページの2行目から3行目にかけて、男の精の匂いがしないかと、亮一郎が膝枕をしてくれている徳馬の下腹部に顔を押し付けるという描写はとても官能的ですね。エロすぎ…!
その他
あとがきによると、この攻めにはモデルにした人物がいるそうですが、一体誰なんだろう?植物学は詳しくないので残念ながらわかりませんでした。