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sorachinoのブログ

BLやラノベ、少女漫画、ロマンス小説等の読書感想ブログ。お気に入り作品には★タグをつけています。どちらかと言うと新刊より古い作品に言及することが多いかも。ネタバレ多数。コメント大歓迎です。

田亀源五郎 『弟の夫1』

主人公弥一は、小学生の娘・夏菜と二人暮らし。ある日、自宅にカナダ人のマイクという大柄な男性が訪ねてきます。彼は、弥一の死んだ双子の弟・涼二とカナダで同性結婚をしていました。弟の配偶者である男性マイクに戸惑いつつも交流することになった弥一と夏菜。そんな彼らのお話です。

田亀さんが一般誌で描くと聞き、初めてこの方の本を買いました。有名な作家さんなので公式サイトやブログを見に行ってイラストを拝見したことはあったんですが、画力に感嘆しつつも流血ありのグロ要素に恐れをなして正直今まで漫画の購買意欲は沸かなかったのです。ところが今回の『弟の夫』は痛々しい猟奇描写もなく現代日本の日常に寄り添った身近な内容のようでしたので、ワクワクしながら買ってみました。

読んでいてまず印象的だったのが、かなり真正面からゲイライツをテーマにしているんだな、ということでした。主人公がセクシュアルマイノリティと交流を持つ中で少しずつ自分の中の偏見を解きほぐしていく展開といい、LGBTに関する解説コーナー「マイクのゲイカルチャー講座」も設けられていることといい、啓蒙を意識した作りになっています。とはいえ、説教臭さ全開というわけでは決してありませんし、1つ1つのエピソードがとても丁寧に描かれていて主人公の心情の動きも自然ですので、大変読みやすかったです。

主人公弥一の同性愛に対して戸惑いつつも自分の中にある偏見や差別をできるだけ表に出さないように気をつける態度と、しかしゲイであった涼二にはそれはすっかり見透かされていた、というのがリアルだなと感じました。

「俺初めて彼女が出来てさ。それが得意で…弟に何か言ったんだ。お前も早く彼女作れよ…とか何とか。そうしたら…」
“兄貴 俺さ ゲイだから”
「…って言われたんだ。なんか普通に…。笑いながらさらっと…。で…、俺は…」
“へエ そうなんだ”
「…としか言えなくて…」

さすがに今の世の中、ゲイであることをカミングアウトされて激昂して罵倒する、というリアクションを取る人は減ってきているのではと思います。でもその一方で、どう反応したらいいのかわからずついスルーしてしまう、これってありがちなんじゃないでしょうか。カミングアウトしてくれた相手を傷つけたくないし、自分も差別的な発言をしたいわけではない、理解したいし受け入れしたいとも思うが、どうしてもギクシャクしてしまって不自然な態度をとる。もちろん、カミングアウトした側はその狼狽を簡単に見透かす。以降、その話題は出せず気まずい雰囲気になる二人。そういう事例、いっぱいありそうです。

「落ち着いてよく考えればさ、そのことだけでいきなり弟が今までと違う何かに変わるわけもないんだけど。でも……なんか変に意識してしまって…」

それにしても双子の弟がいることを娘に話していなかったということは、弥一と涼二の断絶は結構根が深そうなんだよなぁ。弥一がマイクとの交流の中でどんなことを考え、どんな風に変わっていくのか、続きが楽しみです。

ちなみに『弟の夫』を読んでいて、私は藤たまきさんのBL漫画『密告』を思い出していました。あの漫画にも弟がゲイだとカミングアウトするのを兄の視点から回想するシーンが出てくるんですよね。高校生の時にカミングアウトされた『弟の夫』の弥一に対して、恐らく中学生だった『密告』の主人公は幼稚で差別的な暴言を吐いてしまうのですが。『密告』については別途感想記事書いていきたいと思います。

ところで、この『弟の夫』、実はもっとドエロなのかと思ってたので1巻は案外お行儀が良くて少し驚いたのでした(笑)。いえ、もちろん田亀先生らしいサービスシーンはあるんですけどね。主人公弥一の入浴シーンとか、マイクのシャワーシーンとか。あとカバー下のイラストとか。カバー下のマイクのイラストは、胸毛が毛の流れもわかるように一本一本細かく描かれていて凄いです。

マイクの披露したカナダの定番料理チーズアンドマカロニ、初めて知りましたが美味しそうですね。手軽に作れそうだし。でも、カロリーは高そうだなw


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