sorachinoのブログ

BLやラノベ、少女漫画、ロマンス小説等の読書感想ブログ。お気に入り作品には★タグをつけています。どちらかと言うと新刊より古い作品に言及することが多いかも。ネタバレ多数。コメント大歓迎です。

今市子『楽園まであともうちょっと』1巻

楽園まであともうちょっと 1 (花音コミックス)

楽園まであともうちょっと 1 (花音コミックス)

  • 攻め:川江務
  • 受け:浅田貴史


元妻の実家の借金を肩代わりした零細旅行会社の社長×借金取りの第一弾。

こちらはかなり前に入手した本です。とっくの昔に全3巻読み終わっていますが、エントリが長くなりそうなので1巻ずつ感想をあげていきたいと思います。

好きなところ、萌えたところ

【やたら明るい借金群像劇】

まず借金話なのに暗くない、むしろ明るくて笑えるコメディ路線ということで読みやすかったです。ユーモアのある台詞など笑える場面もたくさんあります。実は、本書の背表紙のあらすじには「借金取り」だの「不倫」だの「三角関係」だのといった不穏ともいえる言葉が並んでいます。だから読む前はきっと暗くて泥沼になる話なんだろうなと敬遠していたのですが、同作者の『幻月楼奇譚』が面白かったので思い直して手に取ったところ、良い意味で予想を裏切られ、とても楽しめました。

BLで借金話というと借金のカタに受けがオークションにかけられてそれを富豪の攻めに買われて……、というストーリーを思い浮かべがちですが、さすが今市子さん、本作ではちょっと違った話の展開になっています。

借金でがんじがらめに縛りつける絆もあるんじゃないですか?

などという怖い台詞も飛び出しておりましたが、金融業者の受けの発案によって、攻めは連帯保証人として債務者に仕立て上げられてしまうのですよ。面白いのが、お互いを意識し合っているので融資という絆が出来たことを2人がちょっと喜んでいるふしもあるところ。こんな関係から始まる恋というのも珍しい。
まぁ、人間どんな境遇になっても笑える余裕を持ちたいもんですね。

というわけで、借金話にもかかわらずギャグテイストの織り交ぜられたドタバタ喜劇ではありますが、一方で、各々のキャラクターのエゴも結構描かれています。このお話って登場人物多いんですが、みんな悪気はないんだろうけど結構自分勝手なんですよね。二次元だから笑ってみていられるけれど、既に婚姻関係にない元配偶者を騙して連帯保証人にする小百合のやり方とかは実際にやったら人でなしですよ。

それぞれに思惑や要望があって動き回り、色々な誤解や勘違いを生み出し、事態は思わぬ方向へと進んでいきます。予想外のストーリー展開が多くて、この作品って群像劇としても凄く面白い。

この漫画家さんの作品は大抵どれも台詞が多く、場面転換も多く、密度の高い紙面が特徴的です。時に読み辛い、わかりにくい、と感じることもありますが、この作品に限ってはテンポよくストーリーが展開していくためにその特徴は良い方に転んだ気がしますね。読み応えがあります。

【川江の魅力】

数々の登場人物の中で最も魅力的なのは、やはり主人公である攻めの川江でしょう。彼は大変チャーミングでおおらかな人です。そしてとてもお茶目で可愛気のあるキャラ。本当に良い奴で、良い奴ゆえに色々墓穴も掘ってますが、なんだかんだいって生活力あるし、たとえ貧乏になろうが借金背負おうが腐らずちゃんと働いて確実に返済しているのがポイント高い。

菊地(受けの元彼)より川江の方が誠実で良い恋人になりそうです。不運に見舞われたときにへこたれず頼りになる男なんてあんまりいないよ!浅田君、乗り換えるべきだ!馬面だけど長身でいい男だしね。

【登山話が興味深い】

川江が山男ということで山登りのシーンが何回か登場します。山の上で過ごす夜、浅田が

なんつう痛いくらいに饒舌な星空だ。ああうるさい…

と思うのは、満天の星達の強烈さがよく伝わってくる良い台詞だと思いました。このシーン好きだわー。


その他

  • 本作の川江、『あしながおじさん達の行方』の夏海や『青髭の友人』のハルヒコなど、この作家さんの作品には自由業(あるいはそれに近い立場)の長髪男ってときどき登場しますよね。しかも結構な確率で眼鏡の。今さん長髪&眼鏡の男性がお好きなんだろうか。
  • そして今さん、ヤクザもお好きと見える。今作でもナチュラルにヤクザが登場してますね。私はヤクザ萌えってほとんどないせいか、今さんのBL作品読んでると結構な頻度で裏社会の人が出てくる気がする。
  • さて、その川江が浅田に告白する場面は、満天の星空の下で2人っきりという絶好のシチュエーションのはずなのに、なんだか話のついでに告白と言う感じがして随分あっさりしてるなと驚きました。さらっと言うのは浅田に負担をかけないように配慮しているからかもしれないけど。
  • それにしても小百合ちゃん、元旦那を連帯保証人にして借金生活に巻き込むなんて随分ダーティなはずなのに、あのさばさばした性格ゆえに作中ではなんだか憎めないキャラになってますね。川江との女子高生的なノリも愉しいし。でも、料金踏み倒されて可哀想なので葬儀屋さんにはお金を払ってあげてください…!
  • 一巻の段階では、受けの浅田が攻めの川江とは別の人と付き合っており、その当て馬と浅田とのベッドシーンも描かれているので、そういうのが苦手な私はこれが今さんの作品ではなかったら多分手にとらなかっただろうなぁ。まあ、軽い描写でしたし面白かったので食わず嫌いせずに読んでみて本当に正解でしたが。

まとめ

今市子さんの作品は色々読んでますが、この『楽園まであとちょっと』全3巻はかなりおススメです。登山好きな方、眼鏡男子好きな方は特に楽しめるのではと思います。




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