sorachinoのブログ

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いもあん 『雨降らしの森〜この世界で貴方と〜』 全2巻

雨降らしの森?この世界で貴方と?(1)

雨降らしの森?この世界で貴方と?(1)

雨降らしの森?この世界で貴方と?(2)

雨降らしの森?この世界で貴方と?(2)

電子書籍サイトで読みました。異世界トリップファンタジーのBL漫画です。

現代日本人の中年男性がある日突然招かれた異世界の風物が面白いです。作家さんが愛情をも持ってその作品世界の設定を色々と作りこんだというのが伝わってくるんですよ。きっと設定作るの楽しかったんだろうな。例えばその世界では、建築物は曲線を多用した意匠の独特なもので、また男女ともにうなじを見せないよう非常に長く髪を伸ばす慣習があります。‘草木の司’と呼ばれる植物の力を支配する人達や、まるで二足歩行の動物という外見なのに郵便配達員や大工としてなど人に交じって働いている生き物などが当たり前のように存在しています。さらに、夜になると天から一人一つずつ灯りが降りてくる―――そんな不思議な世界です。異邦人の受けが異文化に面くらったり驚いたりする場面を読んでいると、昔あった世界の色々な場所でホームステイをするドキュメンタリー番組『世界ウルルン滞在記』を見ているときの感覚を思い出しました。異文化コミュニケーションってそれだけでドラマがあるし充分面白いんですよね。

その世界では、異世界からやってくる人の存在は広く知られており、‘迷い人’と呼ばれています。迷い人は、一番最初にその世界で出会った人(=世話係)としか言葉が通じず、必然的に迷い人である受けと世話係の攻めは共同生活の中で親しくなっていき恋愛感情にまで発展していきます。ところが、お互いに自分が相手にとって特異な存在だから恋愛に至るのでは?もし自分が迷い人でなければ相手に愛されなかったのでは?という葛藤を抱えているんですね。しかも迷い人は必ずいつか元の世界に帰ってしまう、とされているのです。恋が成就してもいつか突然引き離されてしまうかも、という状態はしんどいよなぁ。

ストーリーはシンプルで、正直少し起伏に欠ける気がしないでもないです。けれど、居心地の良さそうな異文化の中での地に足のついた暮らしの描写や、切なくも優しいモノローグにはひき込まれました。ハッピーエンドで良かったなぁとしみじみ思えるラストで、読後感も爽やかです。

同作者が同一世界で描いた『267夜〜2人だけの最後の道行き〜』全3巻や『狂い森の町〜いびつな草木の司と迷い人〜』1巻も読んでみましたが、私はこの『雨降らしの森〜この世界で貴方と〜』全2巻が一番好みでした。 


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