sorachinoのブログ

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穂積 『さよならソルシエ』 全2巻

さよならソルシエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

さよならソルシエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)

さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)

後に炎の画家として名を残すフィンセント・ゴッホ、その弟テオ。画商であるテオを主人公に1885年に始まるパリ画壇界の物語です。絵も綺麗ですし、表紙もインパクトがあってつい手に取りたくなりますし、各見せ場もきっちり演出されており、新人ながら、まるでベテランのような安定感のある作家さんだなと思いながら読みました。1巻の路上でチェスをしている浮浪者たちに次の手をアドバイスするテオの登場シーンは格好良かったです。

ただ、主人公テオ一人だけが万能感溢れすぎかな。周囲のキャラクターが皆彼の引き立て役に成り下がってしまっている気がしないでもない。結局歴史はまんまとテオの思い通りに書き換えられてしまいましたというオチも、うーん、どうもね。人一人が生きた実存の重みってあると思うので、それを軽々と塗り替えられるというのは、ちょっとなぁ……。世間に流布している実在のゴッホ兄弟のイメージを逆手にとって、作者さんはストーリーを作りたかった、というのはわかるんだけれども。

私はデビュー作『式の前日』の方が好みですね。


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