大竹直子 『源平紅雪綺譚』
大判の漫画は普段買わないのですが、帯に
と書いてあったのと、表紙のカラーイラストの麗しさに惹かれてつい買ってしまった本です。
表紙、すごく魅力的ですよね。和を感じさせる抑えた繊細な色使い、鎧や装束の模様も精緻で、歴史物の雰囲気をよく伝えています。ちなみに同作者の単行本『秘すれば花』の表紙イラストも綺麗だと思うので興味のある方はぜひ書影をご覧ください。
一方で、モノクロの画風はわりと往年の少女漫画風味で、カラーの表紙とはギャップのある絵だなという印象を受けました。黒髪のツヤベタの表現の仕方がなんだか懐かしい。最近のBL漫画だとこういう表現あんまり見かけない少し古さを感じる絵です。
源義経と平敦盛のお話である表題作の『源平紅雪綺譚』を中心にいくつかの源平物の短編などが収録されていました。この本の中では巻頭の『青蓮』が良かったかな。平経正という武将が都落ちする前に、幼少時に稚児仕えをしていた仁和寺に名高い琵琶を返しに行くというストーリーです。『平家物語』や『源平盛衰記』を下敷きに描かれたお話でした。