山中ヒコ 『ギブズ』
- 作者: 山中ヒコ
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2012/05/30
- メディア: コミック
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目覚めたら記憶喪失になっていた主人公。傍らには恋人だと主張するスーツ姿のヤクザの男がいて、命を狙われているから部屋の外に出るなと言われるが……、というストーリーでした。
最初、なぜかタイトルを『ギプス』だと勘違いしてました。殺されかけて傷だらけな受けを攻めが半ば監禁しつつ庇護している状況をギプスに例えているのかと……。
正しくは『ギブズ』で、作中攻めがよく言う「ギブアンドテイク」という言葉の「GIVES」を指しているのだと気がついて納得。そういえば確か帯にも「奪うばかりが、愛じゃないだろう?」と書いてあった。チンピラの部下の顔面にガラス製の重い灰皿投げつけるなど攻めはヤクザらしい暴力的な振る舞いをしますが、受けにだけは妙な優しさを見せ、体を張って銃弾から受けを守り、自身の損得を省みず上層部からの命令も無視して受けを庇い匿う。まさにGIVE。
攻めのキャラに見合わぬ一途さは描かれていますが、一方で、甘すぎないテイストに作品を仕上げているのは裏社会ものらしくて良かったと思います。ラストも完全なラブラブハッピーエンドではなく、ビターな味わいも残していて余韻があります。
余談。脇役に澄んだ海と書いて‘澄海(すかい)’と読む珍しい苗字のチンピラキャラがいます。綺麗な名前だ。