五百香ノエル 『運命はすべて、なるようになる 上』
運命はすべて、なるようになる(上) (Holly NOVELS)
- 作者: 五百香ノエル,SHOOWA
- 出版社/メーカー: スコラマガジン(蒼竜社)
- 発売日: 2010/07/23
- メディア: 新書
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テニス物のスポ根BLかなと思って手にした本作。確かにトップアスリート達が織り成すストーリーでしたが、予想していたような汗と青春の爽やかなスポーツものというわけではありませんでした。
プロテニスプレーヤーと高級男娼の二束のわらじを履く主人公、というなかなか異色の設定のお話だったのです。日本で行われたトーナメントにおいて受けの戦績がボロボロだったことについて、テニス界の王者が受けを叱り付けるシーン等はスポ根物の匂いがありましたが、結構男娼設定が色濃く物語に影響を与えています。リアリティがあるかないかといったら無いしぶっ飛んだ設定ではありますが、不思議と訴求力のあるお話で、読ませる内容だったと思います。
主人公は、幼い時分に父親の借金のカタにヤクザに売られ、さらに日本から香港の人身売買業の大物の老人に売り渡され、そこで男娼しての教育を受けて世界中のセレブに体を売っているという経歴の持ち主です。当然、多数の人物とのベッドシーンがあり、そういう点に私は多少苦手意識を感じながら読んでいたんですが、当て馬のパトロンたち、げぜんの老人、老人の部下で主人公の見張り役など周囲の人物たちと主人公との交流が案外人間味のあるものだったので、そこまで読むのが辛いというものでもありませんでした。
主人公の袋小路に陥っている状況にハラハラしてしまいます。下巻ではどうなっちゃうんだろう。