sorachinoのブログ

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オノ・ナツメ 『つらつらわらじ 備前熊田家参勤絵巻』 全5巻

つらつらわらじ(1) (モーニング KC)

つらつらわらじ(1) (モーニング KC)

つらつらわらじ(2) (モーニング KC)

つらつらわらじ(2) (モーニング KC)

つらつらわらじ(3) (モーニング KC)

つらつらわらじ(3) (モーニング KC)

つらつらわらじ(4) (モーニング KC)

つらつらわらじ(4) (モーニング KC)

つらつらわらじ(5)<完> (モーニング KC)

つらつらわらじ(5)<完> (モーニング KC)

江戸の三大改革の一つ、寛政の改革を老中松平定信が行っている頃。江戸時代に多大な影響を与えた参勤交代をテーマにしたロードムービー風漫画でした。備前岡山の熊田藩藩主熊田治隆と供の衆が岡山を発ち、江戸につくまでを5巻を費やして描いています。一行の中には、若く青臭い家老が初めての大役に張り切って多少空回りしつつも藩主の供をしていたり、幕府の隠密が馬の口取役として紛れ込んでいたりしますが、殿は常にマイペースで泰然としていました。彼らが道中で出会う人々との交流や、岡山で待っている他の家老たちの水面下での軋轢なども描かれており、多彩な人間模様が繰り広げられています。
モノローグは多くないけれどキャラクターの言動で魅せていて、繊細な心情が描かれているなと思いました。

それにしても、殿の愛されっぷりが半端ないw 家老たちや、側仕えたちからも、人足からも、妻妾からも、領民からも、馬からも、政敵の意を受けて間者からも、滅茶苦茶好かれてます。重々しくて人情味もあって確かに良いキャラですよね。松平定信が倹約を推し進める中、豪快豪奢を好み、人々の度肝を抜くような大掛かりなことを堂々と行います。実在した池田治政をモデルにしているんだとか。

殿の甘いもの好きという設定を反映して、作中ではさまざまなお菓子を食べるシーンが出てきます。肥後から取り寄せた銘菓‘加勢以多’や関宿の銘菓‘関の戸’、その他には長餅やら羊羹やら氷餅やら。ちなみに加勢以多って語感からてっきりカステラのようなものなのかと思っていたけれど、ググってみたら全然違って、マルメロ羹(あるいはかりんのジャム)をもち粉のおぼろ種で挟んだお菓子だそうです。
旅先で珍しいものやその土地の名産物を食べるのって楽しいですよね。江戸時代、参勤交代の道中では、当時の人々もたくさんの楽しみを見つけていたんだろうなと思います。

この漫画の難点を一つあげるとしたら、キャラの見分けが難しいことでしょうか。かなりデフォルメされた人体になっている上に、みんなお侍さんばっかりで服装も似たようなものばかりだし、顔も似ていますし。一回目読んだときは、殿の身の回りの世話をする山和木と筆頭家老の長門の二人の見分けが難しかったです。慣れればわかるようになりましたが。