沙野風結子『つる草の封淫』
読心力、テレパシー、サイコメトリーと呼ばれるような、他人の心の中や記憶を読める設定に昔から惹かれます。一般書籍でもそういった設定がある作品はつい手にとってしまいます。
- 作者: 沙野風結子,朝南かつみ
- 出版社/メーカー: フランス書院
- 発売日: 2010/01/08
- メディア: 文庫
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小説。舞台は江戸時代の紀伊。藩主の嫡男×伊賀忍者のお話です。忍者の受けは、他人の体液を摂取するとその人の記憶や思念を読み取ることが出来る、という能力を持っています。任務のため攻めと関係を結ぶのですが、なぜか攻めの体液からは情報が読み取れなくて……、というお話。
読心設定好きとしては当て馬攻めがツボでした。内心を見られることを恐れていたために、長年受けの傍にいても体液の摂取は決してさせなかった当て馬攻め。彼が、いよいよ受けが他の男のものになってしまうというときに、自分の全てを曝け出す覚悟で自分の心を読み解いてくれ、と頼む展開は萌えました。
ところで本作は濡れ場が多く、しかも無理やりとか3人でとか蛇を使って責めたりとかもあるので、そういうのドンと来い!という気分のときに読むといいかもしれません。初読の際私は怒涛の性描写に途中で脱落してしまったのですが、1年近くインターバルを置いてもう一度じっくり最後まで読み返してみたら、「あれこの本こんなに面白かったっけ!?」と驚きましたよ。やっぱりその手のシーンは、読み手の体調とかメンタルによって受け付けるときと受け付けないときがあると思います。濡れ場を読むのは気力が充実している時でないとしんどいです。
このジャンルにとって濡れ場は必須ではなくとも重要なものですよね。本作のようにそういうシーンが多いのにきちんとストーリーが進んでるのは凄いと思います。作家さん、さすがの技量だなぁ。