松岡なつき 『旅行鞄をしまえる日』
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売れっ子モデルと、客船の客室担当乗務員とのお話。
太平洋を南下中の豪華客船ブレイシング・ゼファー号の船上から物語は始まりますが、船の中よりも無人島でのシーンの方が物語の多くを占めていました。ボートが難破したため漂着を余儀なくされた島で、折り合いの悪い受けと攻めがたった二人きりで救出を待つことになるのです。
お互いに反発を抱きつつも、これだけ相手がムカつくのは似たもの同士の同属嫌悪なのだろう、と二人とも冷静に考えているのが面白かった。自己分析ができてるな〜。また、自分の顔と身体にしか攻めは興味を抱いていないのだろうと、受けが悲しく思うあたりの展開は切なくて良かったです。
攻めのサバイバル能力とサービス業に従事するものとしての接客態度は凄かったけれど、無人島では随分やりたい放題やっていたなー。ちょっと受けが不憫でしたよ。
無人島で孤立無援という危機の中、一方に偏ったパワーバランスの下で関係を持っていたので、二人にとっては陸に上がった後の生活こそが正念場と言えるのでは、と思いました。